ビットコイン(BTC)の最小単位であるサトシにテキスト、画像、コードを追加可能にするテクノロジーであるビットコイン・オーディナルズは、ビットコインコミュニティの間で議論の的となっている。
ビットコイン・オーディナルズが2023年1月に導入されるとすぐに、この技術に対する反対者たちは増大する取引コストや速度低下といった問題を挙げ、懸念を表明し始めた。
逆にオーディナルズの支持者たちは、この技術が更なる機会を提供し、分散化を改善し、言論の自由を確保すると主張した。
ビットコイン・オーディナルズのインスクリプションがわずか8日間で250万から500万以上に倍増する中、この技術を巡る論争を見てみよう。
コスト、スピード、セキュリティの脆弱性
オーディナルズがビットコインネットワークの容量と拡張性に及ぼす否応なしの、そして望ましくない影響は、ビットコイン純粋主義者たちが懸念する最大の問題の1つだ。彼らは、ビットコインがサトシ・ナカモト氏の定めたピアツーピア決済のミッションを唯一尊重すべきであると信じている。
オーディナルズのインスクリプションを利用するBRC-20の増加は、BTCの取引手数料の急増を引き起こした。ペペ(PEPE)のようなBRC-20のミームコインの熱狂は、ビットコインの取引コストを2021年以来の最高水準に押し上げた。
ユーザーが新たなトークンを発行するためにBTCをオーディナルズのインスクリプションに注ぎ込み続ける中で、ブロックチェーンが混雑するようになった。5月7日、40万件のトランザクションがメモリープールで滞留していたため、バイナンスは一時的にBTCの出金を停止した。
Given recent events, can we just agree to rename the mempool to memepool? pic.twitter.com/6jHQKvjPW2
— alfaleek (yo / uhh / hmm) (@alfaleek) May 3, 2023
ビットコインのレイヤー2サイドチェーンであるMintlayerのエンリコ・ルボリCEOは、オーディナルズを支える技術は「大きな欠陥がある」とし、ビットコイン・コミュニティの基本的な信念に従っていないとコインテレグラフに語った。
「その標準とツールの開発者はビットコインとは無関係であり、匿名であり、彼らのソフトウェアはこのアプリケーションで徹底的にテストされていない」とルボリー氏は語った。彼はまた、オーディナルズがビットコインに対する追加的な規制や監視を引き起こす可能性があると考えている。新たなBRC-20トークンは証券と見なされる可能性があるからだ。
ルボリー氏はさらに、オーディナルズにより、プロトコルは詐欺に対して脆弱になると主張する。「エコシステム全体を混乱させ、誤解を招くように設定されている」と彼は言う。BRC-20は「イーサリアムのERC-20トークンの人気を吸い取るために作られた」と主張する。
彼はさらに、匿名のBRC-20クリエーターDomoが最初にそのトークンが「価値がない」とユーザーに警告したことを強調した。BRC-20を立ち上げる前、Domoはツイッターでそのトークンが「単なる楽しい実験」であると強調した。
「これらは価値がない。大量に発行するためにお金を無駄にしないでほしい」と、BRC-20のクリエーターは書いている
gm. I'm glad that some people like the experiment. Some additional notes.
1. These will be worthless. Please do not waste money mass minting.
2. Due to how some inscription tools are set up, the 'balance' may be minted to the intermediary address used in https://t.co/mja39YGIow…
— domo (@domodata) March 9, 2023
ビットコイン・オーディナルズ支持者からの議論
ビットコイン・オーディナルズがビットコイン・ブロックチェーン上で新たな価値を開放する能力は、オーディナルズ支持者による重要な反論だ。一部のオーディナルズ支持者は、取引コストの上昇などの問題が時間とともに薄れるとも信じている。
「オーディナルズはビットコイン・アプリケーションの有益な探求であり、ビットコイン・ネットワークにおいてより大きな価値を解放するのに役立つ」と、F2Poolの最高マーケティング責任者、リー・チンフェイ氏はコインテレグラフに語った。
「それがもたらすネットワークの混雑は一時的なものであるはずだ。ライトニングネットワークと同様に、問題を解決し、取引コストを削減し、取引速度を上げる良い解決策があるはずだ」
リー氏は、取引手数料の増加が2024年に予定されているビットコインの半減期後に、より多くのマイナーがネットワーク維持に参加することを促すだろうと主張した。オーディナルズの積極的な推進者であるF2Poolは、その10周年を祝うために、「10² Islands」という特別な非代替性トークンシリーズを立ち上げた。
Roundtable21の共同創設者ブランドン・ダルマン氏もリー氏の発言に同意し、BRC-20は現在、イーサリアムのERC-20プロトコルに対するストレステストを受けていると語る。「まだ完成していないので、ビットコインネットワークは需要に追いつけず、混雑している」と彼はコインテレグラフに話す。
ダルマン氏はまた、ユーザーに対して、ビットコインネットワークの混雑による問題を防ぐために、一つだけでなく複数の仮想通貨プラットフォームを利用するよう勧めた。
コミュニティの一部のメンバーは、ビットコインが「魔法のインターネットマネー」からより複雑なテクノロジーへと変貌することをなぜ妨げるべきなのかと主張する。
「多くのBTC純粋主義者から反発があることを知っているが、私は誰もが彼らのプラットフォームを使って取引を検閲し、ネットワーク上の何が『有効』で何が『無効』な取引であるかを見分けることを試みるべきだとは思っていない」と、AngelBlockの創設者アレックス・ストレジニエフスキ氏はコインテレグラフに語った。
多くのオーディナルズ支持者はまた、この技術が言論の自由に貢献すると指摘している。
「私はみんながオーディナルズを嫌っていることを知っているが、テキストや画像であろうと、ビットコインのタイムチェーン上に検閲不可能な情報を公開する能力は、事実上、世界中の言論を永遠に検閲不可能にする」と、ビットコイン支持者のBitPaineはツイッターで書いている。
どの立場からの意見なのか?
オーディナルズの支持者と批判者の間で意見が対立しているにもかかわらず、それらに賛成または反対の理由の多くがその視点に依存することに注意するべきだろう。
例えば、レイヤー2の技術ビルダーにとって、オーディナルズのようなビットコインのベースレイヤー開発に反対するのは自然なことだろう。一方、マイナーは収入を増加させる可能性のあるものに反対することはないだろう。
ビットコイン・オーディナルズは、取引手数料やメモリープールのサイズについてあまり気にしないであろうホドラーにとってはほとんど何の影響もないだろう。しかし、トレーダーや仮想通貨取引所などの他の市場参加者にとっては多くの問題を引き起こしている。
オーディナルズが未来にも存続するかどうかはまだわからないが、コミュニティはまだその技術の潜在力とその真の結果を見ていないだろう。
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